社長のための会社にお金を残す節税戦略 【第9回】“未来逆算”の資金設計 – 10年後から今を決める
第9回|“未来逆算”の資金設計 – 10年後から今を決める
~積み上げ型経営から「未来基点経営」へ~
「今年いくら利益が出るか」「今どんな節税ができるか」――その発想では、未来は現状の延長線上から抜け出せません。
本当に会社を変えるのは、「10年後から今を決める」という未来逆算の思考です。
未来から逆算して資金設計を行えば、節税も財務も承継も一本の線につながり、判断がブレなくなります。
今回は、積み上げ発想から脱却し、未来から逆算して今を決める“逆算資金設計”の考え方を解説します。
目次
前回「【第8回】節税・財務・事業承継をつなぐ「戦略設計図」とは」の内容はこちらから見れます
- はじめに:「今から考える経営」には限界がある
- 積み上げ発想と未来逆算発想の決定的な違い
- 未来逆算思考がもらたす3つの効果
- 「未来逆算の資金設計」3ステップ
- 実例:未来逆算設計で会社の姿が変わったE社
- 社長が今すぐ考えるべき3つの問い
- おわりに:「今」ではなく「未来」から経営を始めよう
はじめに:「今から考える経営」には限界がある
多くの中小企業の社長が、毎年の経営判断を「今の数字」や「今年の利益」から考えています。
「今年はいくら利益が出そうか」「今年はどれくらい節税できるか」「今年の資金繰りはどうか」――。
もちろん、短期的な視点も大切です。しかし、これだけでは会社の未来は大きく変わりません。
なぜなら、「今から積み上げる発想」では、思考も行動も“現状の延長線上”から抜け出せないからです。
本当に会社を強くしたいなら、「10年後から今を決める」という“未来逆算の発想”が欠かせません。
この考え方が入るだけで、節税も財務も承継も「バラバラな対策」から「未来へつながる戦略」に変わります。
積み上げ発想と未来逆算発想の決定的な違い
まずは、よくある「積み上げ発想」と「未来逆算発想」の違いを整理してみましょう。
| 項目 | 積み上げ発想 | 未来逆算発想 |
| 出発点 | 現在の数字・状況 | 未来の理想・ゴール |
| 思考の軸 | できる範囲で考える | 必要な手段を逆算する |
| 財務の組み立て | 利益や税金を見ながら調整 | 未来の資金構造から逆算して設計 |
| 経営判断 | 「今できること」を選ぶ | 「未来から必要なこと」を決める |
積み上げ型の経営は「現状を少しずつ良くする」ことはできますが、「未来を選ぶ力」は持てません。
一方、未来逆算型の経営は「こうありたい未来」から逆算して今の行動を決めるため、戦略がブレず、選択と集中が明確になります。
未来逆算思考がもたらす3つの効果
未来逆算の資金設計に切り替えると、経営の質は大きく変わります。
代表的な効果は次の3つです。
① 中長期の資金計画が明確になる
「10年後に会社をどの規模にしたいのか」「5年後にどれくらいの内部留保が必要か」といった未来を先に決めることで、今期・来期の利益計画や節税戦略が明確になります。
② 無駄な支出が減る
未来逆算ができていると、「それは未来に必要な支出か?」という判断軸ができます。
結果として、目先の“節税のためだけの経費”が激減し、キャッシュが積み上がります。
③ 承継や出口戦略が“前倒し”で準備できる
未来から逆算していれば、承継資金や退職金の原資も早期に積み立てが始まります。
結果、将来慌てることがなく、選択肢の幅が広がります。
「未来逆算の資金設計」3ステップ
では、未来逆算をどう資金設計に落とし込めばいいのか。
基本となる考え方は次の3ステップです。
ステップ① 「10年後の理想像」を具体化する
まずは、10年後の会社と社長の理想像を具体的に描くことから始めます。
・売上・利益はいくらの会社にしたいか
・社長個人としてどのくらいの資産を築いていたいか
・事業承継はいつ、どのような形で行いたいか
ゴールが明確でなければ、逆算もできません。
最初のステップは「未来を数字とストーリーで描く」ことです。
ステップ② 「未来から逆算した資金構造」を設計する
次に、その未来を実現するために必要な資金構造を設計します。
・10年後に内部留保はいくら必要か
・退職金の原資はどのくらい積み上げる必要があるか
・自社株対策のために資産と負債のバランスはどうあるべきか
こうして未来の資金構造が見えると、今期・来期にどのくらいの利益・キャッシュを確保すべきかが明確になります。
ステップ③ 「今やるべき施策」に落とし込む
最後に、未来から逆算した数字をもとに、今期の施策へと落とし込みます。
・役員報酬をどの水準に設定するか
・どの保険をどの目的で活用するか
・どの時期から承継準備を始めるか
こうすることで、「今期何をすべきか」が単なる思いつきではなく、「10年後の未来のための一手」になります。
実例:未来逆算設計で会社の姿が変わったE社
年商2億円のE社は、以前まで「とにかく毎年節税を考える」積み上げ型の経営でした。
しかし、10年後のビジョンと社長引退時の姿を明確にし、未来から逆算して資金設計を行った結果、次のような変化が起きました。
・内部留保の年間積み上げ目標が明確になり、金融機関の評価が向上
・退職金原資の積立開始により、承継準備を10年前倒しで着手
・「今期の施策」がすべて「未来のための一手」として整理された
E社の社長はこう言いました。
「10年後から逆算して今を決めると、判断がブレなくなった」と。
社長が今すぐ考えるべき3つの問い
あなたの会社は未来から逆算できているでしょうか?
次の3つの問いを考えてみてください。
- 10年後、会社をどの規模・状態にしていたいか?
- そのとき、どのくらいの内部留保・資産・退職金が必要か?
- その未来から逆算して、今期何をすべきか?
この3つの問いに明確に答えられる会社だけが、未来を“選ぶ”ことができます。
おわりに:「今」ではなく「未来」から経営を始めよう
節税も財務も承継も、すべては「未来から逆算して今を決める」ことで本当の力を発揮します。
未来が明確であれば、今やるべきことは自然と決まります。
逆に、未来が曖昧なままでは、どれだけ施策を打っても経営は現状の延長線上から抜け出せません。
「10年後から今を決める」――。
この思考が入るだけで、会社のお金の流れも、社長の人生設計も、まったく違うものになります。
次回は、この未来逆算思考を「社長個人の資産戦略」にまで広げて考えます。
会社と社長の資産を一体で最適化する視点が入ると、経営は一段上のステージへと進みます。
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