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コラム

社長のための会社にお金を残す節税戦略 【第11回】社長引退までの“出口戦略” – 承継と資金移転の設計図

第11回|社長引退までの“出口戦略” – 承継と資金移転の設計図

〜未来から逆算して「最終章」を描く〜

 

出口戦略を考えずして、経営は完成しません。

何の準備もないまま承継を迎えると、高額な税負担や後継者不在など、会社と家族に大きな負担がのしかかります。

出口戦略は“その時”になってから考えるのではなく、今から逆算して準備するものです。

今回は、社長引退までの「出口戦略」の全体像と、承継・資産移転をスムーズに進めるための設計の考え方を解説します。

 

目次

前回「【第10回】会社と社長の資産を一体で考える – 法人×個人最適化の思考法」の内容はこちらから見れます

  1. はじめに:「出口」を考えずして経営は完結しない
  2. 出口戦略がない会社が陥る3つの落とし穴
  3. 出口戦略とは何かー“未来から逆算した設計図”
  4. 出口戦略の3つの柱
  5. 出口戦略を成功させる3つの原則
  6. おわりに:「出口」を決めた会社だけが未来を選べる

はじめに:「出口」を考えずして経営は完結しない

 

多くの経営者が「今期の利益」「3年後の成長」など短中期のことには熱心に取り組みますが、「引退」や「承継」といった“最終章”の戦略になると、つい後回しにしてしまいます。
「まだ先の話だから」「その時になったら考えよう」と思っている社長は少なくありません。

しかし、出口戦略とは“その時”になってから考えるものではありません。
むしろ、「今」から逆算して設計を始めなければ、会社も社長の人生も大きな代償を払うことになります

会社経営とは、事業を成長させることだけでなく、「どう終わらせるか」までを含めて初めて完成します。
今回は、社長が引退までに必ず考えるべき「出口戦略」とは何か、その全体像と設計のポイントを解説します。

 

出口戦略がない会社が陥る3つの落とし穴

まず、出口戦略がないまま走り続けると何が起こるのか。
現場で実際に起きている典型的な3つの落とし穴を紹介します。

思わぬ税負担が発生する

事前準備がないまま事業承継を迎えると、高額な相続税や贈与税、自社株評価の跳ね上がりなどに直面します。
本来、10年前から対策していれば数千万円単位で抑えられた税金が、何の準備もないために重くのしかかるのです。

後継者への承継がスムーズに進まない

出口戦略がないと、「後継者が決まらない」「引き継ぎの準備が整っていない」といった理由で事業承継が遅れます。
その結果、会社の方向性が曖昧になり、従業員・取引先・金融機関の信頼が揺らぐケースも珍しくありません。

社長自身の人生設計が破綻する

社長個人の資産移転や生活資金の設計をしていないと、「会社は残ったが自分の生活が苦しい」という状況に陥ります。
人生の最終章に入ってから慌てても手遅れで、会社にも家族にも大きな負担を残すことになります。

これらはすべて、「出口を考えるのが遅すぎた」ことが原因です。

 

出口戦略とは何か – “未来から逆算した設計図”

 

出口戦略とは、「会社と社長の未来の終着点から逆算して、資金・税務・承継の設計を行うこと」です。
単に「誰に引き継ぐか」を決めることではなく、「どう資産を移転するか」「どの順序でどの施策を行うか」まで含めた“戦略設計図”です。

そして重要なのは、少なくとも5〜10年前から設計を始めることです。
なぜなら、退職金・自社株評価・資産移転などは「時間」という武器を使って初めて最大効果が出るからです。

 

出口戦略の3つの柱

効果的な出口戦略は、次の3つの柱で構成されます。

自社株対策 – 「評価」と「移転」の両輪

事業承継において最も大きな税負担を生むのが、自社株評価です。
何も対策をしなければ、株価が高騰して莫大な相続税・贈与税が発生するリスクがあります。

・株価評価のコントロール(利益水準・資産圧縮など)
・少しずつの贈与による移転
・持株会社などの活用

「評価」と「移転」の両輪で時間をかけて準備することで、負担は大きく軽減できます。

退職金戦略 – 「社長個人への資金移転」

社長が引退時に受け取る退職金は、最も強力な資金移転の手段です。
損金算入が可能で、かつ個人側は分離課税によって税率が抑えられるため、法人・個人双方にとって有利な制度です。

・支給額の根拠とルールの整備
・原資の積立計画(保険・内部留保の活用)
・支給タイミングの設計

早期から逆算して準備しておくことで、承継時の負担軽減と社長個人の生活基盤づくりが同時に叶います。

資産移転戦略 – 「法人→個人→次世代」の流れを設計

法人のお金を社長個人に、そして次世代へと移していく流れを設計します。
・役員報酬、退職金、配当のバランス設計
・生前贈与の活用
・保険を使った資金移転

ポイントは、「どの順番で、どの時期に、どれくらい移すか」を10年単位で計画することです。

 

出口戦略を成功させる3つの原則

出口戦略を実効性あるものにするためには、次の3つの原則が欠かせません。

原則① 「時間」を最大の味方につける

自社株の移転も退職金の原資準備も、短期でできるものではありません。
5年、10年という時間をかけて少しずつ仕組みを整えることが、最大の節税効果を生みます。

原則② 「法人と個人を一体」で考える

会社の資金と社長個人の資産を切り離さず、一体で最適化することが重要です。
会社だけが潤っても、個人が困る設計では出口は成立しません。

原則③ 「未来から逆算」して今を決める

「今できること」ではなく、「10年後にこうなっているために今何をすべきか」という逆算思考が欠かせません。
未来を明確にすることで、今打つべき手が自然と見えてきます。

 

おわりに:「出口」を決めた会社だけが未来を選べる

 

会社経営は、出口を描いて初めて完成します。
どれだけ業績を伸ばしても、承継・資金移転・社長自身の人生設計が整っていなければ、「最後の一手」で大きなつまずきを招きます。

出口戦略は、明日から始めるものではありません。「今」から逆算して動くものです。
今の一手が、5年後・10年後の選択肢を大きく広げます。

次回は、出口戦略を支える“資金戦略の総仕上げ”として、「キャッシュフロー設計と未来投資の考え方」について解説します。
ここまで学んだ内容をすべて一本の線に結び、会社の未来を描く最終章です。


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