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コラム

社長のための会社にお金を残す節税戦略 【第6回】税務戦略と並行して「内部留保戦略」を考える

第6回|税務戦略と並行して「内部留保戦略」を考える

~ 税金を払ってでも会社を強くするという逆転の発想~

 

節税ばかり意識が向きすぎていると、会社にお金が残らず、経営がいつまで経っても不安定なままです。節税と同時に考えるべきは「内部留保戦略」。

内部留保は、金融機関からの信用力、投資の余力、そして会社を守る体力を生み出します。

「税金を減らす」から「お金を残す」へ――。

この発想転換が、会社を次のステージへと引き上げます。

今回は、節税と財務を“車の両輪”として考えるための基本視点を解説します。

 

目次

前回「【第5回】保険は“節税商品”ではない」の内容はこちらから見れます

  1. はじめに:「節税してるのに会社が強くならない」理由
  2. 節税だけを追うと会社が弱くなるワケ
  3. 内部留保は会社の「体力」であり「信用力」
  4. 「税金を払ってでも内部留保を増やす」という発想
  5. 内部留保を増やす3つのステップ
  6. 事例:税金を払って内部留保を増やしたD社の選択
  7. 社長が今すぐチェックすべき3つの視点
  8. おわりに:「節税」だけでは会社は強くならない

 

はじめに:「節税してるのに会社が強くならない」理由

「毎年きちんと節税しているのに、会社の財務体質が強くならない」
「利益は出ているのに、自己資本比率が一向に上がらない」

そんな声を多くの社長から聞きます。
実はそれ、「節税戦略」だけに偏って「内部留保戦略」を考えていないことが原因かもしれません。

節税はもちろん大切です。しかし、節税ばかりを追いかけていると、会社の体力(=内部留保)が思うように増えず、経営の選択肢がどんどん狭まってしまいます。

本当に会社を強くしたいなら、税金を減らすことと同じくらい「税金を払ってでも内部留保を増やす」という発想が欠かせません。
今回は、多くの経営者が見落としがちな「内部留保戦略」の本質と実践について解説します。

 

節税だけを追うと会社が弱くなるワケ

中小企業の社長がやりがちな典型的な間違いは、「税金を払う=損」と決めつけて、ひたすら節税だけに意識を向けてしまうことです。

もちろん、無駄な税金を払う必要はありません。

しかし、「節税のための支出」が増えすぎると、手元のキャッシュがどんどん減っていきます。そして、その結果として会社の内部留保が増えず、次のような悪循環に陥ります。

・金融機関からの信用力が低下し、資金調達が不利になる
・新規投資や人材採用など、成長のチャンスを逃す
・不測の事態に備える余力がなくなる

節税によって税金が減っても、会社にお金が残らないなら、それは本末転倒です。
会社の“筋肉”をつくるのは、「どれだけ税金を減らしたか」ではなく、「どれだけ内部留保を増やせたか」なのです。

 

内部留保は会社の「体力」であり「信用力」

内部留保とは、会社がこれまでに積み上げてきた利益の蓄積です。
これは単なる貯金ではなく、「会社の体力」「経営の自由度」「信用力」を決定づける重要な指標です。

経営の自由度を高める

内部留保が厚い会社は、外部環境の変化にも柔軟に対応できます。
一時的な売上減少や景気悪化にも耐えられ、長期的な視点で投資判断を行う余裕が生まれます。

金融機関からの評価が高まる

自己資本比率が高く内部留保が厚い会社は、金融機関からの信用力が格段に上がります。
融資条件が有利になり、必要なときに資金を引き出せる可能性も広がります。

事業承継・株価対策にもつながる

内部留保が安定的に増えている会社は、承継時にもスムーズです。

一方、内部留保が薄い会社は株価が乱高下しやすく、承継やM&Aでの条件交渉でも不利になります。

つまり、内部留保は「攻めの投資の源泉」であると同時に、「守りの盾」にもなるのです。

 

「税金を払ってでも内部留保を増やす」という発想

ここで重要な転換点があります。それは、「税金を払う=損」ではなく、「税金を払ってでも内部留保を増やす=会社を強くする」という考え方です。

たとえば、1,000万円の利益を出した会社が、節税のために不要な経費を使って利益をゼロにしたとします。
確かに税金は減りますが、内部留保は増えません。
一方で、税金を300万円払って700万円を残した場合、内部留保はしっかり積み上がります。

この700万円は、次の成長投資や非常時の備え、承継準備などに使えます。
税金を払うことが、会社を強くする「投資」になるのです。

 

内部留保を増やす3つのステップ

では、具体的に内部留保を戦略的に増やすにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは代表的な3つのステップを紹介します。

利益計画と納税計画を連動させる

「税金をいくら払うか」ではなく、「内部留保をいくら積み上げるか」から逆算して利益計画を立てることが重要です。
その上で、納税資金も含めたキャッシュフロー計画を組み立てましょう。

節税策を“未来への投資”とセットで考える

節税自体を否定する必要はありませんが、それを「未来の内部留保を増やすための戦略」として位置づけることが大切です。
たとえば、退職金や保険を使った積立は、将来的に内部留保の一部として活用できる資金をつくる手段になります。

「余剰資金の使い方」を明確にする

内部留保が積み上がってきたら、次はその使い方が重要です。
設備投資、人材投資、新規事業など、会社の未来を伸ばす投資先を明確にしておくことで、内部留保は単なる“貯金”ではなく“未来へのエンジン”になります。

 

事例:税金を払って内部留保を増やしたD社の選択

年商3億円のD社は、これまで「とにかく税金を減らす」方針で、毎年決算前に経費を増やしていました。
しかしキャッシュは増えず、金融機関からの評価も低迷。資金調達に苦労していました。

そこで発想を転換し、「税金を払ってでも内部留保を増やす」方針に変更。
数年かけて自己資本比率を高めた結果、金融機関からの融資条件が改善し、新規事業への投資にも成功しました。

節税一辺倒から内部留保戦略へと切り替えたことで、会社の選択肢と成長スピードが劇的に変わったのです。

 

社長が今すぐチェックすべき3つの視点

あなたの会社は「節税体質」になっていませんか?

次の3つの問いに答えてみてください。

  1. 「内部留保をどれだけ増やすか」を軸に利益計画を立てているか?
  2. 税金を“コスト”ではなく“投資”と捉えているか?
  3. 節税と内部留保のバランスを意識した財務設計ができているか?

一つでも「いいえ」があれば、今こそ見直しのタイミングです。

 

おわりに:「節税」だけでは会社は強くならない

節税はあくまで手段であり、目的ではありません。
本当に会社を強くするのは、「税金を払ってでも内部留保を積み上げる」という逆転の発想です。

内部留保は、会社の未来を切り開く力であり、どんな経済環境でも生き残るための盾です。
そして、その内部留保を戦略的に積み上げることこそが、節税だけでは決して手に入らない“経営の自由”をもたらします。

次回は、「内部留保が増えない会社が陥るNGパターン」について掘り下げます。
知らず知らずのうちに会社の体力を削っている“7つの間違い”を徹底解説します。


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