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コラム

社長のための会社にお金を残す節税戦略 【第7回】“損金化の罠”に注意せよ ー間違った節税7選ー

第7回|“損金化の罠”に注意せよ  ー間違った節税7選ー

〜節税が会社の首を絞める瞬間とは〜

 

「損金になるなら使ったほうが得」と思っていませんか?

実はその発想こそが、会社の首を締める最大の要因です。

決算前の駆け込み経費、不要な役員報酬、出口設計のない保険――。

一見“節税”に見えて、実はキャッシュを減らしているだけの支出は珍しくありません。節税は目的ではなく手段です。

今回は、経営者が陥りがちな“損金化の罠”を7つ取り上げ、本当に会社を強くするための見極め方をお伝えします。

 

目次

前回「【第6回】税務戦略と並行して「内部留保戦略」を考える」の内容はこちらから見れます

  1. はじめに:「節税=正しい」と思い込んでいませんか?
  2. 損金化の罠①:決算前の“駆け込み経費”
  3. 損金化の罠②:「なんとなく」役員報酬を上げる
  4. 損金化の罠③:「節税になるから」と保険に加入
  5. 損金化の罠④:会社名義で“不要な車”を購入
  6. 損金化の罠⑤:社宅や福利厚生を“節税目的”で導入
  7. 損金化の罠⑥:「中小企業倒産防止共済」に過度に依存
  8. 損金化の罠⑦:「利益ゼロが正義」と思い込む
  9. なぜこれらが危険なのか – 「節税」と「戦略」の違い
  10. 損金化の罠を防ぐ3つの視点
  11. おわりに:「損金=正義」という思い込みを捨てる

 

はじめに:「節税=正しい」と思い込んでいませんか?

「できるだけ損金を増やして税金を減らしましょう」
「利益が出たら決算前に経費を使い切りましょう」

こうした言葉を税理士や営業担当から聞き、深く考えずに従っている社長は少なくありません。

しかし、その節税が本当に会社を強くしているかどうか、一度立ち止まって考えたことはあるでしょうか?

実は、節税と見えても「会社のお金を減らすだけの行動」になっているケースは非常に多くあります
つまり、「損金化」という言葉に惑わされて、知らず知らずのうちに“罠”にかかっているのです。

今回は、私が現場で何度も目にしてきた「やってはいけない節税7選」と、それを回避するための考え方を解説します。

 

損金化の罠①:決算前の“駆け込み経費”

最もよくあるのが、「決算前に慌てて経費を使う」というパターンです。
パソコンを買い替える、不要な備品をまとめ買いする、広告費を一気に出す――。

確かに損金にはなりますが、その支出は本当に会社を強くしているでしょうか?
一時的に税金は減っても、キャッシュが減って資金繰りが悪化するだけというケースがほとんどです。

節税は「必要な投資」とセットで考えることが大切です。

お金を使うこと自体が目的になっている時点で、それは戦略ではありません。

 

損金化の罠②:「なんとなく」役員報酬を上げる

法人税を減らすために役員報酬を増やすというのも典型的な落とし穴です。

報酬を上げれば確かに法人の利益は減りますが、その分、個人の所得税や社会保険料が増え、トータルで見ると損になることがよくあります。

役員報酬は「法人と個人のキャッシュの最大化」を目的に設計すべきです。

節税だけを目的に決めると、会社にも社長にもお金が残らない構造になってしまいます。

 

損金化の罠③:「節税になるから」と保険に加入

「損金になるから」と保険に加入し、毎年多額の保険料を支払っているケースも少なくありません。

ところが、出口戦略が考えられていないと、解約返戻率が低いタイミングで資金が戻らない、あるいはキャッシュフローが圧迫されるといった問題が起こります。

保険は「出口から逆算して設計する」ことが基本です。

退職金や承継資金など、明確な目的と時期がない保険契約は、ただの負担になりかねません。

 

損金化の罠④:会社名義で“不要な車”を購入

「会社で車を買えば損金になりますよ」と言われ、必要性の低い高級車を購入してしまうケースもあります。

確かに損金にはなりますが、維持費・保険料・車検代などが継続的にかかり、キャッシュアウトが続く“節税貧乏”になってしまいます。

車両購入は、「業務上本当に必要か」「将来の利益につながるか」という視点から検討すべきです。

 

損金化の罠⑤:社宅や福利厚生を“節税目的”で導入

社宅制度や福利厚生費を節税目的だけで導入するのも危険です。

税務上の要件を満たしていないと、税務調査の際に、経費計上が認められず追徴課税の対象になることもあります。

社宅制度や福利厚生は、本来の目的(人材確保・定着、従業員満足度の向上など)と一致して初めて「戦略的な経費」となります。

 

損金化の罠⑥:「中小企業倒産防止共済」に過度に依存

倒産防止共済は損金算入できる優れた制度ですが、目的もなく掛け金だけを積み上げている会社も多く見受けられます。

いざ解約時には返戻金が益金計上され、思わぬ課税が発生するケースもあります。

共済は「いつ・何のために使うか」という出口設計を明確にしたうえで活用することが大切です。

 

損金化の罠⑦:「利益ゼロが正義」と思い込む

もっとも根深い罠が、「利益ゼロで終えることが正しい節税だ」という考え方です。

これは内部留保の回で解説したとおり、会社の体力を奪い、信用力を低下させる非常に危険な思考です。

税金は「会社が稼いでいる証」であり、払うことで内部留保を積み上げ、会社を強くすることができます。

「利益ゼロ=節税の成功」ではなく、「税金を払ってキャッシュを残す=経営の成功」という視点が必要です。

 

なぜこれらが危険なのか – 「節税」と「戦略」の違い

ここまで見てきた7つのNG事例に共通するのは、「節税を目的にしている」という点です。

節税はあくまで手段であり、目的ではありません。

目的は「会社にキャッシュを残すこと」「未来への投資余力を増やすこと」であり、節税はそのための戦略の一部です。

しかし、節税を“目的化”してしまうと、キャッシュが減り、内部留保が増えず、成長チャンスを逃し、会社は弱くなっていきます。

ここが、「節税」と「戦略」の決定的な違いです。

 

損金化の罠を防ぐ3つの視点

こうした落とし穴を避け、節税を本当の武器にするためには、次の3つの視点が欠かせません。

  1. 出口から逆算して設計する – 「いつ・何のために」その支出が必要なのかを明確にする
  2. キャッシュの増減で判断する – 税金だけでなく「会社にお金が残るか」を軸に考える
  3. 財務戦略全体の中で位置づける – 節税単体でなく、退職金・内部留保・承継などと連動させて設計する

この3つの視点を持つだけで、「損金化の罠」に陥るリスクは大きく下がります。

 

おわりに:「損金=正義」という思い込みを捨てる

損金にすればいい、節税できれば勝ち、利益ゼロが正しい――

こうした“思い込み”こそが、会社の成長を止めてしまいます。

節税とは、会社にキャッシュを残すための「戦略の一部」にすぎません。

損金化という言葉に振り回されず、「その支出は会社を強くするか?」という視点を常に持ち続けることが、賢い経営への第一歩です。

 


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