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コラム

社長のための会社にお金を残す節税戦略 【第2回】税金は“敵”ではなく“味方”である

第2回|税金は“敵”ではなく“味方”である

〜目的を間違えると、会社にお金が残らない〜


目次

【第1回】なぜ節税だけを追うと会社は弱くなるのかの内容をご覧になりたい方はこちらから見れます。


はじめに

「できるだけ税金を減らしたい!」
そう思う社長は少なくありません。
しかし──税金を“敵”と見なして、減らすことばかり考えると、結果的にお金が残らない会社になります。

節税は決して「悪」ではありません。
けれど、“何のために”節税するのか、その目的を見誤ると、努力が逆効果になることもあります。

今回は、「税金は会社の敵ではなく、味方である」という視点から、中小企業が“お金を残す経営”へシフトするための考え方を解説します。


「利益が出たら節税」という誤解

多くの経営者が、「節税(税金を減らすこと)」が目的となっています。
確かに、税金は大きなコストであり、支払いを抑えたい気持ちは当然です。

しかし、税金を減らすこと自体が目的になると、会社は次のような悪循環に陥ります。

  • 決算前に慌てて経費を使う
  • 本来必要のない支出までして利益を圧縮する
  • 現金が減って資金繰りが悪化する

こうした「税金を減らすこと自体が目的の節税」は、実は会社の体力を奪っていきます。
つまり、節税を“目的”にしてしまうと、税金は減っても会社は弱くなるのです。


本質的な節税は「会社を強くする手段」

節税の本来の目的は、会社にお金を残すことです。
つまり、節税とは「会社を強くするための手段」であり、税金を減らすことはあくまで“過程のひとつ”にすぎません。

例えば、決算前に慌てて設備を買うと、一時的には税金が減ります。
しかし、手元の現金が減り、翌期の資金繰りが厳しくなれば本末転倒です。

本当に強い会社は、「税金を払ってでもキャッシュが残る構造」をつくっています。
それこそが、本質的な節税戦略です。


「節税=キャッシュが残る」という固定観念を捨てる

中小企業の社長がよく陥るのが、「節税すると納税金額(支出)が減り、キャッシュが残る」という思い込みです。

もちろん、将来の成長に必要な設備投資や人材投資は大切です。
しかし、「税金を減らすため」の投資(支出)をしてしまうと、次のような弊害が生まれます。

  • キャッシュが減り、資金繰りが悪化する
  • 投資すべき分野にお金を回せなくなる
  • 金融機関の評価が下がる

真の節税は、「納税金額を減らすこと」ではなく、「キャッシュを増やすための戦略」を描くこと。
つまり、“攻め”の財務戦略として設計する必要があります。


税金は「成長の証」であり「信頼のチケット」

税金を払うということは、会社が利益を出している証拠です。
利益がなければ税金は発生しません。
つまり、税金は「成長の証」であり、「誇るべき成果」なのです。

さらに、税金をきちんと払っている会社は、金融機関や取引先からの信頼が高まります。

  • 銀行融資の評価が良くなる
  • 将来の事業承継や売却時の評価が上がる

税金を「コスト」ではなく、“未来への投資”として捉えることができれば、経営の判断軸が変わります。
「税金を払ってもお金が残る会社をつくる」──この発想こそ、強い財務体質を築く第一歩です。


節税を「財務戦略」として考える3つの視点

節税を「税金対策」ではなく「財務戦略」として捉えるには、どんな視点を持てばいいのでしょうか。
代表的な3つの戦略を紹介します。

① 役員報酬を“法人と個人のバランス”で設計する

役員報酬は、法人税・所得税・社会保険料に大きく影響します。
単純に「税金が減る金額」で決めるのではなく、法人と個人のトータルキャッシュ最大化を基準に設計すべきです。

② 退職金を“出口戦略”として活用する

社長の退職金は、法人の損金にできる貴重な手段です。
しかも、個人で受け取るときには優遇税制があり、法人・個人の両方でメリットを得られます。

  • 法人の節税+個人の資産形成を同時に叶える
  • 事業承継の準備にも活用できる
  • 生命保険などと組み合わせて資金を確保できる

③ 内部留保を“筋肉”として増やす

節税を優先しすぎると、内部留保(会社に残る利益)が増えません。
内部留保は、会社の“筋肉”のようなもの。
これが厚くなるほど、金融機関の信頼が高まり、チャンスを掴むスピードも上がります。

  • 税金を払ってでも、手元資金を厚くする
  • 短期の節税より、長期のキャッシュ強化を優先
  • 投資原資として内部留保を積み上げる

節税は“点”ではなく“線”で考える

本質的な節税とは、単発のテクニックではありません。
「事業の成長」「資産形成」「承継」までを見据えた、長期戦略です。

税金だけを見て判断するのではなく、財務全体の流れの中で「どこにお金を残すか」を設計する。
節税を「点」でなく「線」で考えることで、会社の未来に“つながるお金”が残るようになります。


まとめ:税金を味方につける会社が強くなる

税金は敵ではありません。
会社の成長を後押しし、信頼をつくる“味方”です。

節税の本質は、「税金を減らすこと」ではなく、
「税金を払っても会社と社長にお金が残る仕組みをつくること」。

そのためには、

  • 役員報酬
  • 退職金
  • 内部留保

といった要素を「財務戦略」として設計し、税金を“経営の味方”として活かしていくことが大切です。

税金を敵視する経営から、税金を活かす経営へ──。
それが、“お金が残る会社”への最短ルートです。


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